グラム染色は肺炎や尿路感染症などの起炎菌の迅速な診断に有用な検査です。救急外来やクリニック、各診療科にてPoint of careとして使用できれば、その場で起炎菌の推定が可能なため迅速で適切な抗菌薬の使用が可能です。 AMRのアクションプランとして掲げられている抗菌薬適正使用にも資することが期待できます。一方で上記の現場には専門の技師がいない、自身でおこなう時間がない、染色に慣れていないことから染色のムラが発生するなどの課題もあります。 これらの課題を解決するために自動グラム染色機PoCGS®-Proを開発いたしました。

私は都内の大学病院での勤務経験があり、微生物検査に従事しておりました。ただ染色の工程を自動化するだけではなく、臨床への導入のしやすさも考慮し特に以下3点をコンセプトに開発に挑みました。
・現場の微生物検査技師の染色手法に似せること
・染色・脱色時間などのパラメーター調整を可能にすること
・試薬は市販品をそのまま利用できるようにすること
染色機構は熟練技師が用手法で実施する時と同じ滴下法を採用しております。また検体の種類・質などは様々で染色時間も施設によって微妙に異なることから、幅広い検体に対応できるよう一つ一つの染色パラメーターを1秒単位で調整ができるように設計しました。 市販の染色液をボトルに充填していただければそのまま利用が可能です。

さらに弊社研究ラボでの検証実験を通じて、最適な染色パラメーターも作成しました。共同研究機関での臨床試験の結果、熟練微生物検査技師の方と同等の染色結果も得られております。こちらのパラメーターは「推奨プログラム」としてお使いいただけます。

弊社が開発した染色機は誰でもボタン一つで固定から染色、乾燥まで全自動で行うことができます。グラム染色の経験がなくても染色ができるため、検査室はもちろん診療科やクリニックなどでも染色が可能で、検体搬送時間の短縮が見込めます。 またPoint of careで迅速に結果が得られ、結果確認までの時間の短縮も期待できます。当社のPoCGS®-Proが微生物検出検査に携わる方々の一助となればと思っております。