【ホワイトペーパー/感染症】アフリカでの耐性淋菌の拡散

はじめに

淋病(淋病感染症)は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の感染により引き起こされ、世界中で最も蔓延している性感染症の一つです。抗菌薬への耐性を持つ株が多いことでも知られ、特にペニシリン系薬やニューキノロン系薬に対する耐性は大半の菌が保有していると考えられています。尿道炎などの症状が出やすい男性に比べ、女性では症状が出にくく、無症候性感染者が未治療のまま放置されやすい傾向があります。そのため、未治療者を介した感染が広がりやすいという特徴があります。淋菌は母体からの垂直感染で新生児にも健康被害を引き起こす事でもしられ、アフリカ地域での高い淋病有病率は公衆衛生上の大きな脅威となっています。しかしその対策は現状、治療や薬剤耐性監視の面で不十分と言えます。

前述の通り、特にアフリカ地域で高い有病率であることが知られています。ある妊婦を対象とした研究では、妊婦の淋病有病率は世界全体で1.85%であったのに対してアフリカ地域では3.53%、特に南部アフリカでは4.6%と高く、これはヨーロッパ地域の0.52%と比較すると高い有病率であったと報告しています[i]。また、生殖年齢女性を対象とした別の研究では、サハラ以南の生殖年齢女性の淋病有病率は3.28%と推定しています[ii]。

当記事では上記のように淋病の脅威にさらされているアフリカでの薬剤耐性とその監視の実態について調査した研究をもとに、現状の課題と今後の展望について考察します。

[i]Kosar Vaezzadeh et al ‘Global prevalence of Neisseria gonorrhoeae infection in pregnant women: a systematic review and meta-analysis’ Clinical Microbiology and Infection, Volume 29, Issue 1, 2023, Pages 22-31
[ii]Zemenu Yohannes Kassa et al. ‘Prevalence of Neisseria gonorrhoeae infection among women of reproductive age in sub-Saharan Africa: a systematic review and meta-analysis’ The European Journal of Contraception & Reproductive Health Care, 25:5, 365-371

アフリカでの薬剤耐性淋病の拡散における問題点

アフリカでの淋菌AMR(薬剤耐性)監視及びAMRデータの内容を含む、査読済み論文をPubMedオンラインにて検索し、そのうち基準を満たす30の論文(いずれも2006年から2020年の期間に発表)について、淋菌の薬剤感受性試験の結果とモニタリング状況を分析しています。[iii]

[iii]Francis Kakooza et al ‘Antimicrobial susceptibility surveillance and antimicrobial resistance in Neisseria gonorrhoeae in Africa from 2001 to 2020: A mini-review’ Frontiers in Microbiology, 2023 Volume 14:1148817

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