MRSAの耐性機序
MRSA(methicillin-resistant S. aureus:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、メチシリンやオキサシリンに耐性になった黄色ブドウ球菌のことを指します。その多くが、mecA遺伝子をもち、ペニシリン結合蛋白(penicillin-binding proteins:PBPs)PBP-2aを産生し、β-ラクタム系薬の細胞壁合成阻害に抵抗を示します。
その結果、セフタロリン(ceftaroline)などを除く、ほぼすべてのβ-ラクタム系薬に耐性を獲得するのです。
MRSA の病原性は、MSSA(methicillin-sensitive S. aureus)にくらべて、特に強いわけではありません。そのため、健常者に対しては、一般的に低病原性であり、除菌のための抗菌薬投与は基本的に不要です。
しかし、易感染者にてMRSA感染症が発生した場合、各種の抗菌薬に抵抗性を示すため、治療が難渋し重症化する事例も多く、院内感染の原因菌として非常に重要といえます。
MRSAの検出状況
MRSAは、感染症法において「5類感染症(基幹定点把握)」に指定されています。
下の表は、1999年~2021年におけるMRSAの報告数と定点当たり報告数です。報告数は、2007年の24,926件をピークに減少傾向でしたが、2016年からは、ほぼ横ばいになっています。
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