【論文:抗菌薬】ChatGPTと抗菌薬アドバイス:感染症診察専門医の終焉か?

【論文名】

Executive Summary

  • 背景・目的:
    • ChatGPTは、OpenAI(サンフランシスコ)によって開発された大規模言語モデル(LLM)である。医療データへのアクセス数は限られているにもかかわらず、ChatGPTは医師免許試験の成績が医学部3年生に匹敵すると言われており、平均的な人間の医師とほぼ同じように答えることができるのではないかと、医学界で議論を呼び起こしている。しかしChatGPTは、相談内容のさらなる説明を求めるためにChatGPT側から質問をすることはできず、中でも感染症に関する相談では、臨床情報と抗菌薬耐性や微生物生態に関する知識を統合する必要がある。そこで本研究では、感染症を想定した8つの質問に対して、ChatGPTへ抗菌薬に関するアドバイスを求めた。そして、その回答の適切性、一貫性、安全性、抗菌薬管理への影響を評価し、この評価をもとにLLM医療安全性評価フレームワークを構築した。
  • 方法:
    • 以下のさまざまな感染症に罹患した状況を想定した臨床医による8つの質問を、ChatGPTに投げかけて回答を調査した。
      • ①第一選択薬に抵抗性のある蜂窩織炎
      • ②腹腔内膿瘍の抗菌薬を用いた治療期間
      • ③カルバペネマーゼ産生菌に感染した患者の発熱性好中球減少症
      • ④複数の薬剤が禁忌である原因不明の感染症
      • ⑤院内肺炎に対する経口抗菌薬のステップダウン
      • ⑥カンジダ血症患者の次の管理ステップ
      • ⑦中心静脈カテーテル関連血流感染症の管理方法⑧重症急性膵炎患者に対する抗菌薬
  • 結果:
    • ChatGPTによる回答についての主な結果は以下の通りである。
      • 各シナリオを理解しており、抗菌スペクトルやレジメンが適切で臨床反応の意味も理解していた。
      • 適切な管理ステップ案のあと、感染症専門医への相談を推奨する免責事項が回答に含まれていた。
      • スペルや文法に一貫性、正確性が見られた。
      • 複雑な考慮事項(例:血液培養の汚染)を認識していた。
      • 基本的な抗菌薬スチュワードシップ(例:細菌感染の証拠がある場合のみ抗生物質を使用する)が盛り込まれていた。
      • 一般的な抗菌薬の投与期間は適切だが、治療延長の根拠が誤っていたり、全く無視されたりしていた。
      • 抗菌薬禁忌を認識できず、危険なアドバイスを繰り返すことがあった。また、患者の安全性に関する臨床的手がかりを見落とすこともあった。
  • 結論:
    • ChatGPTを臨床に導入する際の最大の障壁は、状況認識、推論、一貫性の欠如であると考えられる。これらの欠点は、患者の安全を脅かす可能性がある。そこで本論文の著者らは、ChatGPT等のLLMの臨床への導入を目指す際の、医療安全性評価フレームワークを提案している。LLMは今後も進化し続け、より多くの情報を取り込むようになると推測されるが、患者ケアへの影響を理解するためには、AIに関する知識と外科的な専門知識を合わせ持つ臨床医が不可欠となる。

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