- 雑誌名 Nature Communications
- 著者 Miriam Reverter, Samira Sarter, Domenico Caruso, Jean-Christophe Avarre, Marine Combe, Eloise Pepey, Laurent Pouyaud, Sarahi Vega-Heredia, Hugues de Verdal, Rodolphe E. Gozlan
- 掲載年月 2020年4月20日
- URL https://www.nature.com/articles/s41467-020-15735-6
Executive Summary
目的:
多くの発展途上国で、水産養殖は何百万人もの人々の食料安全保障を確保するための重要な役割を担っているため、環境の変化が養殖の持続可能性に及ぼす影響を測定することは食糧不足の解決において重要である。本研究の目的は、地球温暖化と細菌の薬剤耐性(AMR:antimicrobial resistance)が養殖にどのような影響を与えるかを探ることである。
手法:
地球温暖化とAMRが養殖にどのような影響を与えるかを探るため、メタアナリシス(460論文)を実施した。その際には、40カ国の養殖関連細菌(11,274株)の多剤耐性指数(分離された耐性菌株の数/分離された株の総数)を用い、環境および社会経済指標の相関を算出し、AMR増加のリスクが最も高い国や地域をマッピングした。
結果:
低・中所得国でAMRレベルが高いことがわかった。更に、養殖関連細菌の多剤耐性指数は、ヒト臨床細菌の多剤耐性指数や気温、気候変動の影響に対する脆弱性と相関があることがわかった。加えて、感染した水生動物の死亡率は、気温が高いほど高いことが示された。
考察:
気候変動の影響に最も脆弱な国は、おそらく最も高いAMRリスクに直面しており、水産養殖部門を超えて人々の健康に影響が生じる可能性があるため、早急に行動を起こす必要性があることが明らかになった。抗生物質の使用を最小限に抑え、国家としてのシステムのレジリエンスを高めるための持続可能なソリューションが必要となる。