【特別企画】臨床検査技師国試過去問解説シリーズ⑩

TSI培地に腸内細菌科細菌を接種して1日後の写真を別に示す。
判定として誤っているのはどれか。

1. 白糖分解
2. 乳糖非分解
3. ブドウ糖発酵
4. 硫化水素產生
5. ブドウ糖からのガス産生

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■解答:1

■解説

TSI斜面培地の性状を覚えておく問題。TSIはトリプルシュガーアイロンの略。

トリプルシュガーとしてブドウ糖・乳糖・白糖が1:10:10で入っており、アイロンはFe:鉄のこと。

腸内細菌が培地に接種されるとまずブドウ糖を分解して培地が酸性に傾き、培地が高層部/斜面部全て黄色くなる。しかしブドウ糖の量は他の糖に比べて少ないため最初に枯渇する。

その後乳糖もしくは白糖を分解できる菌の場合、培地はそのまま酸性で黄色のままであるが、乳糖・白糖両方分解できない場合、栄養要求性を糖からペプトンにスイッチする。

ペプトンを代謝するとアンモニアが産生され、培地に含まれる指示薬:フェノールレッドと反応して培地が赤くなる。

赤くなる部分はブドウ糖をいち早く使い切った部分、また酸素が多く反応が早く進むところなので斜面部から赤く変色していく。

H2S:硫化水素を産生する菌はFe:鉄と結合し硫化鉄となるので、培地が黒く変色する。

またガスが産生される場合は、培地に切れ込みが入ったり、培地が浮きあがる。

【第68回臨床検査技師国家試験問題より】

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