【特別企画】臨床検査技師国試過去問解説シリーズ⑥

髄液の Gram 染色標本を示す。分離菌はヒッジ血液寒天培地に発育し、グルコース及びマルトースを分解した。推定されるのはどれか。

1.Escherichia coli
2.Listeria monocytogenes
3.Neisseria gonorrhoeae
4.Pseudomonas aeruginosa
5.Streptococcus agalactiae

■解答:3

■解説

染色画像をみるとどうやらグラム陰性球菌(双球菌?)と推測。
E. coliはグラム陰性桿菌なのでNG
Listeriaはグラム陽性の桿菌なのでNG
N. gonorrhoeaeはグラム陰性の双球菌であり、かつグルコース、マルトースを分解するのでこれが正解。
P. aeruginosaはグラム陰性桿菌なのでNG
S. agalactiaeはグラム陽性球菌なのでNG
ただ、N. gonorrhoeaeは一般にヒツジ血液寒天培地には発育不良であり(普通はチョコレート寒天培地で発育させる)、グルコース、マルトースを分解することも記憶が曖昧であれば、3を選んでほんとにいいのか迷うところ。
国家試験当日は設問の生化学的性状で決め切るより、消去法でいった方が安全。

【参考】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jamt/69/4/69_19-116/_html/-char/ja
上記を見てみるとNeisseria gonorrhoeaeはヒツジ血液寒天培地に対し良好に発育することがあるようです。(N. gonorrhoeaeN. meningitidisの鑑別に苦慮した一例)
最終的にはマルトースの性状で確定していました。
Neisseria gonorrhoeae (+)
Neisseria meningitidis (ー)

【第68回臨床検査技師国家試験問題より】

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