【論文/AMR】世界保健機関(WHO) が優先度が高いと位置付ける細菌病原体のカルバペネム耐性および治療困難耐性菌の世界的動向: ATLASサーベイランスプログラム 2018-2022

背景・目的

薬剤耐性菌は、患者の罹患率や死亡率、医療システムや国家経済にも多大な影響を与える公衆衛生上の脅威です。中でも、カルバペネム耐性の腸内細菌科細菌(CRE)、緑膿菌(CRPA)、アシネトバクター・バウマニ(CRAB)の出現と蔓延は、世界保健機関(WHO)の重要な「優先細菌性病原体リスト」に含まれています。治療困難耐性(DTR)表現型を示すグラム陰性桿菌は、重篤な感染症の治療に使用されるすべての第一選択殺菌性抗菌薬に対する非感受性によって定義され、重要な臨床上の課題となっています。そこで、本研究では2018年から2022年にかけて、ATLAS(Antimicrobial Testing Leadership and Surveillance)グローバルサーベイランスプログラムで収集されたグラム陰性優先病原体の臨床分離株のカルバペネム耐性および治療困難耐性(DTR)の動向の報告を行いました。

手法

アジア太平洋(APAC)、欧州(EUR)、中南米(LATAM)、中東アフリカ(MEA)、および北米(NA)地域の49ヵ国、157ヵ所の医療センターから収集された、腸内細菌科細菌(Enterobacterales)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)(Acinetobacter baumannii-calcoaceticus)に微量液体希釈法による薬剤感受性試験を実施しました。

ATLAS国際サーベイランスプログラムの参加医療施設に対し、各年代の血流感染、腹腔内感染、下気道感染、皮膚・軟部組織感染、尿路感染などの入院患者から、特定のグラム陰性菌種の分離株を収集するよう要請しました。分離菌の菌種同定はMALDI-TOFにより行いました。

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