【論文/感染症】対馬の動物集団における重症熱性血小板減少症ウイルス感染リスクの上昇(絶滅危惧種ツシマヤマネコを含む)

  • 英文タイトル:Increased Risk of Infection with Severe Fever with Thrombocytopenia Virus among Animal Populations on Tsushima Island, Japan, Including an Endangered Species, Tsushima Leopard Cats
  • 雑誌名:Viruses
  • 著者:A Matsuu et al.
  • 掲載年月:2022年11月
  • URL: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9781851/
  • DOI:10.3390/v14122631

はじめに
重症熱性血小板減少症候群(SFTS:severe fever with thrombocytopenia syndrome)は、フェヌイウイルス科バンダウイルス属のマイナス鎖一本鎖RNAウイルスであるSFTSウイルス(SFTSV)によって引き起こされる新興のダニ媒介性人獣共通感染症です。SFTSはウイルス性出血熱であるため、患者は発熱、嘔吐、下痢、腹痛、出血症状、重症の場合は意識喪失など、さまざまな症状を示す。日本における動物の SFTS の臨床的特徴はヒトの疾患と類似しており、SFTSの症状のある伴侶動物から飼い主や獣医サービス従事者に伝染することが報告されている。
SFTSのヒト症例が報告されている流行地域では野生動物の血清陽性率が高くなる傾向がある。そのため、野生動物は流行地域におけるSFTSV感染リスク評価の優れた指標であると考えられている。
長崎県に属する対馬島は、島固有で絶滅危惧種のツシマヤマネコの生息地である。そのため、対馬島におけるSFTSVの侵入と蔓延は、ヒトだけでなく、ネコ、イヌ、ツシマヤマネコなどの肉食動物にも脅威となる可能性がある。最近の調査では、対馬島に分布するSFTSVの媒介動物として、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)とチマダニ(Amblyomma testudinarium)が活動していることが報告されている。そこで、対馬島における野生動物および伴侶動物におけるSFTSV感染の血清学的サーベイランス調査を実施した。

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