【論文/感染症】宮崎県の中型野生哺乳類における重症熱性血小板減少症候群ウイルスの血清学的検査

はじめに
重症熱性血小板減少症候群(SFTS:Severe fever with thrombocytopenia syndrome)は、SFTSウイルス(SFTSV:SFTS virus)によって引き起こされる致死的な新興ダニ媒介性人獣共通感染症である。
この疾患は2011年に中国で初めて報告され、続いて2013年に韓国、2014年には日本で報告された。2021年7月現在、日本の47都道府県のうち26都道府県から641人のSFTS患者が報告されており、地理的には日本西部に集中しているが、その分布は毎年徐々に西日本から中部日本へと拡大している。SFTSVは、家畜や野生動物を含む様々な動物に感染する。宮崎県をはじめとする日本の他の県では、特にイノシシやエゾシカといった大型野生哺乳類においてSFTSVに対する高い抗体保有率が記録されているのに対し、他の野生哺乳類の状況についてはあまり報告されていない。本研究では、宮崎県内に生息し、中型野生哺乳類にされる山岳地帯や都市部に広く生息し 、ヒトやペットの生活圏を訪れる可能性が高いニホンアナグマとニホンタヌキを対象としたSFTSVに対する抗体陽性状況を明らかにし、SFTSVの流行状況を把握することを目的とする。

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