【KOLインタビュー】山元 佳 先生(国立国際医療研究センター国際感染症センター)後編

3.AI100%正解の幻想

カーブジェン坂田(以下、坂田)カーブジェン宮塚

(坂田)医療現場では、「AIを使った医療機器」と聞くと、その機器が出す答えは100%正しいと思い込んでしまう事もあるように感じます。BiTTEの開発を通じて、先生ご自身もAIとの向き合い方に変化があったのではないでしょうか。AIを医療に活用する上での、心構えや上手な付き合い方について教えてください。

(山元)はい。まず、AIの出す結果が100%正解だとは思っていません。人間にも得意・不得意があるように、AIにも強みと弱みがあり、それをきちんと理解した上で活用する姿勢が大切だと感じています。

AIの情報を鵜呑みにするのではなく、AIが提案する情報と内容の「クセ」や傾向を読み取って、自分で有用性を見極めながら使っていく。そういった使い方をしている方は、AIとうまく付き合えているように思います。

(坂田)確かに、AIが95%正解していると「すごい」と評価する先生がいる一方で、「100%じゃないのか」と不安に思う先生もいますね。

(山元)そうですね。精度が100%でないことに引っかかってしまう気持ちもわかります。「もっと精度が上がれば…」と思う場面も多々あります。ただ、どんな検査も100%はないので、検査自体の付き合い方としてある程度は許容していただくしかないのかなとも思います。

(坂田)その残りの5%を埋めるためには、AIに対して何らかの追加学習や改善が必要になりますね。たとえば、より標準化されたデータを学習させるといった方向性も考えられるでしょうか。

(山元)はい、それも一つのアプローチだと思います。さらに言えば、臨床の現場で求められる対応力を高めるために、精度管理に関わる判断スライドを学習させるなどの工夫も、今後の改善策の1つかと考えています。

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