細菌の細胞壁の構造や特性
グラム陰性と陽性の違いは、細菌の細胞壁の構造や特性にあります。
グラム陽性細菌は、厚いペプチドグリカン層でできた単層の細胞壁を持っています。この厚いペプチドグリカン層は、クリスタルバイオレット染色とヨウ素処理の後にアルコール処理をしても染料を保持しやすく、最終的には紫色で染まります。
一方、グラム陰性細菌は、ペプチドグリカン層にリポ多糖層が追加されており、薄いペプチドグリカン層と外部の脂質二重層からなる構造を持っています。この構造はアルコール処理に対して透過性が高く、染料が抜けやすいため、最終的にはサフラニン染色で赤色に染まります。
この染色反応の違いによって、顕微鏡下でのグラム陰性と陽性の区別が可能になります。この区別は、微生物の同定や分類に非常に役立ちます。
この染色法は、微生物学や臨床検査でよく使用され、微生物の特徴や感受性を理解するのに重要な手段となっています。グラム染色による区別は、微生物の治療法の選択や感染症の診断において重要な情報を提供します。