今回も、実際の症例をもとに説明していきたいと思います。
77歳、男性。慢性気道感染症あり、入退院を繰り返す。今回は呼吸状態が悪くなってきたので再入院をされました。喀痰の外観は白色のややさらさらした痰成分の中に膿性のものが少し混じっている状態でした。Miller & Jones の分類 P1(膿性部分1/3以下)。痰量は日頃から多い状態だそうです。主治医より電話で、グラム染色で何か分からないかとの相談がありました。即座に作成してみると、このような所見となりました。
2箇所ほど印象的なものもありました。どのように回答すればよいのでしょうか?
解説:
まず、写真より、長く伸びたグラム陰性桿菌を認めます。あまり典型的な形ではありませんが、菌体の色からある程度推測することができ、これは緑膿菌であると結論付けることができます。伸長しているのは、抗菌薬の影響かもしくは検体の保存が悪いことが挙げられます。おそらく救急搬送後数時間経った検体であったので後者であると考えられます。肺炎桿菌との鑑別をしっかりとつけることが大切であると言えます。
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